『象の話』

『ルーミー詩撰』を更新しました。『精神的マスナヴィー』3巻に収められた、しばしば小咄として引用される有名な部分です。後世、これを原作とした、『盲人と象』と題されて語られる別バージョンも作られているほどです。

『ルーミー詩撰』で、ニコルソン教授は『The One True Light』と題して引用しています。

ヒンドゥー教徒」と訳しましたが、これは「インド人」と訳してもほぼ間違いないだろうと思います。説明しにくいのですが、特に「○○教徒」といった具合に「宗教」を強調している文脈ではなく、象という、異国の(=未知の)動物を連れて来た異国の人、というぐらいのニュアンスです。

「ランプの種類は・・・」については「ガラスの種類は・・・」とも訳せますが、ここでは「ランプ」に統一しました。

『ルーミー詩撰』では、便宜上二段落に分けて紹介しました。最初の段落は『象の物語』のひとつ前に語られる『二人の魔術師の物語』の解説を兼ねている部分でもあり、また『象の物語』の導入部分でもある、といった具合です。

『二人の魔術師の物語』というのは、旧約聖書でもおなじみのパロ(ファラオ。コーランではフィルアウンと呼ばれます)に仕える魔術師と、対するモーセ(モーゼ、モーゼス。コーランではムーサーと呼ばれます)のお話です。コーラン預言者についておもしろい言及がされている部分でもあるので、そのうち紹介したいと思います。