2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『秘宝の探求者』

ルームの地コニヤに到着した彼は、菓子や砂糖を売る店の立ち並ぶ通りの一角にある旅宿に間借りした。彼はその部屋に高価な錠前を取り付け、目の詰まった羊毛のターバンの端に鍵をくくりつけてぶら下げた。それは彼をいかにも裕福な商人のように見せたので、…

『シャムスッディーンのヴィジョン』

ある夜、彼は胸苦しさを憶えて目覚めた。2、3度寝返りをしたが、心のつかえはそのままそこにあった。彼は思い切って声をあげてみた。すると涙が堰を切ったようにあふれてきたので、声をあげて泣いた。泣きながら、彼は自分の悲しみの根源を探り当てようと、…

『バハーウッディーンの教え』

しばらくの後、マウラーナ・ジャラールッディーンは再びルームへ向かう旅に出た。カイセリに到着したとき、町の有力者達はマウラーナの訪れを栄誉と考え、彼を歓待した。サヒーブ・イスファハーニーはマウラーナを自らの私邸に招きたがった。だがブルハヌッ…

『シャムス・タブリーズィーとの出会い』

ともあれマウラーナはダマスカスに到着した。学識ある人々や町の有力者達は彼を歓待した。彼はムカッダス・マドラサに逗留し、宗教や科学について更なる知識探求に勤しんだ。彼はダマスカスで7年間過ごした。伝えられるところによると、ある日マウラーナがダ…

『シシリーの修験者達』

同じように、これはシェイフ・シナーヌッディーン・アッシャフリー・クラードゥズ ー 彼は分別があり、精神力も強い ー が語ったところによれば、それはマウラーナがダマスカスに向かう旅の途中での出来事だった。キャラバンがシシリーの町シスに到着しよう…

『ブルハヌッディーンの思い出』

伝えられるところによれば、シェイフ・サラーフッディーン ー 神よ、彼に祝福を与え給え ー は、ある日我らの導師ブルハヌッディーンと対座していた。精神界に関する話をしているうちに、話題の中心はマウラーナ・ジャラールッディーン・ルーミーに移った。…

『緑の衣をまとう者』

伝えられるところによれば、父が他界して2年後、マウラーナはシリアへと旅立った。アレッポを訪れるのは初めてだった。彼はユダヤ教徒達が多く住む地区にある神学校に寄宿し、科学と神学を学んだ。彼の父の弟子達は、ここアレッポにも住んでおり、彼に会いに…

『少年時代』

マウラーナ ー その頃はジャラールッディーン、と呼ばれていたが ー はその頃5歳になったばかりだった。「それ」が起こると、いつもそうしているように彼は寝台の上に立った。「それ」とは、ある種のヴィジョンのようなもので、ジャラールッディーンの意思と…