Manakib al-Arifin

『内なる成長について』

伝えられるところによると、著名な法学者イフティヤルッディーン・ファキーフは、金曜の集団礼拝の後でマウラーナの館へ立ち寄ることを常としていた。ところがある時、法学者はいつもよりも少々遅れてマウラーナの前に現れた。マウラーナは彼になぜ遅くなっ…

『赤く輝く眼』

伝えられるところによると、ある夜モイーヌッディーンの館で回旋舞踏が行なわれた。その夜は多くの知識人達、修行者達が参加していた。マウラーナもその集まりに参加していたが、彼は幾度となく恍惚状態に没入し、涙を流した。それから彼は広間の隅に場所を…

『金持ちの商人と西のダルヴィーシュ』2/2

マウラーナの住まう館へは、その友人を名乗る男が案内してくれた。タブリーズの商人は彼に連れられて、マウラーナの館と、道場へと向かった。マウラーナは道場にいた。彼は弟子達に講義をしている最中で、内容は今まさに核心に触れようとするところだった。…

『金持ちの商人と西のダルヴィーシュ』1/2

伝えられるところによれば、長い旅路の果てに裕福な商人がタブリーズからコニヤにやって来た時のことである。彼は顔見知りの砂糖商人の館に滞在したが、その際に、コニヤに住まう聖者を紹介して欲しい、と頼んだ。聖者に会って挨拶をし、手を握り、布施をす…

『こっそりと戦場に参加する』

屠殺を生業とし肉屋を営むある男がいた。彼はマウラーナと同じくジャラールッディーンの名で呼ばれていた。『祝福のジャラールッディーン』とあだ名されるほど、最も古くからマウラーナの弟子の一人だった。機知に富み、情け深い男としてもよく知られていた…

『ジン達と燭台』

伝えられるところによると、マウラーナ達の住まう館には天井に届きそうなほどに高い燭台があった。日暮れ時になると、マウラーナはいつもこの燭台の傍らに立ち、夜も更けるまで聖バハーウッディーンの書き遺した数々の書物を読むのだった。ある夜、この館に…

『花束を届けに来た六名の客人』

さて、ここにマウラーナの妻がいる。名をキラ・ハトゥンといい、イエスの母のように敬虔で厳正な女性だった。彼女が語るところによれば:『ある冬の日のこと、私はマウラーナが休息しているところを見かけました。彼は横になり、シャムスィ・タブリーズィ導…

『シャムスの失踪』

さらに伝えられるところによると、神秘道における伝説的な存在である彼ら二人があまりにも近しく交わり、軽々と全ての限界を超えてしまったことが、以前からマウラーナに師事していた人々の嫉妬心に火をつけてしまった。彼らは口々にこう言った:「いったい…

『秘宝の探求者』

ルームの地コニヤに到着した彼は、菓子や砂糖を売る店の立ち並ぶ通りの一角にある旅宿に間借りした。彼はその部屋に高価な錠前を取り付け、目の詰まった羊毛のターバンの端に鍵をくくりつけてぶら下げた。それは彼をいかにも裕福な商人のように見せたので、…

『シャムスッディーンのヴィジョン』

ある夜、彼は胸苦しさを憶えて目覚めた。2、3度寝返りをしたが、心のつかえはそのままそこにあった。彼は思い切って声をあげてみた。すると涙が堰を切ったようにあふれてきたので、声をあげて泣いた。泣きながら、彼は自分の悲しみの根源を探り当てようと、…

『バハーウッディーンの教え』

しばらくの後、マウラーナ・ジャラールッディーンは再びルームへ向かう旅に出た。カイセリに到着したとき、町の有力者達はマウラーナの訪れを栄誉と考え、彼を歓待した。サヒーブ・イスファハーニーはマウラーナを自らの私邸に招きたがった。だがブルハヌッ…

『シャムス・タブリーズィーとの出会い』

ともあれマウラーナはダマスカスに到着した。学識ある人々や町の有力者達は彼を歓待した。彼はムカッダス・マドラサに逗留し、宗教や科学について更なる知識探求に勤しんだ。彼はダマスカスで7年間過ごした。伝えられるところによると、ある日マウラーナがダ…

『シシリーの修験者達』

同じように、これはシェイフ・シナーヌッディーン・アッシャフリー・クラードゥズ ー 彼は分別があり、精神力も強い ー が語ったところによれば、それはマウラーナがダマスカスに向かう旅の途中での出来事だった。キャラバンがシシリーの町シスに到着しよう…

『ブルハヌッディーンの思い出』

伝えられるところによれば、シェイフ・サラーフッディーン ー 神よ、彼に祝福を与え給え ー は、ある日我らの導師ブルハヌッディーンと対座していた。精神界に関する話をしているうちに、話題の中心はマウラーナ・ジャラールッディーン・ルーミーに移った。…

『緑の衣をまとう者』

伝えられるところによれば、父が他界して2年後、マウラーナはシリアへと旅立った。アレッポを訪れるのは初めてだった。彼はユダヤ教徒達が多く住む地区にある神学校に寄宿し、科学と神学を学んだ。彼の父の弟子達は、ここアレッポにも住んでおり、彼に会いに…

『少年時代』

マウラーナ ー その頃はジャラールッディーン、と呼ばれていたが ー はその頃5歳になったばかりだった。「それ」が起こると、いつもそうしているように彼は寝台の上に立った。「それ」とは、ある種のヴィジョンのようなもので、ジャラールッディーンの意思と…