『ブルハヌッディーンの思い出』

伝えられるところによれば、シェイフ・サラーフッディーン ー 神よ、彼に祝福を与え給え ー は、ある日我らの導師ブルハヌッディーンと対座していた。精神界に関する話をしているうちに、話題の中心はマウラーナ・ジャラールッディーン・ルーミーに移った。ブルハヌッディーンはマウラーナの神秘家としての素質をほめ讃えた。

「毎日が光り輝いていた頃のことだ。私たちの時代だった、世界の中心に私たちがいた ー 遠い昔のことだが ー 私はスルタン・バハーウッディーンの弟子だった。私はマウラーナを何度も ー 20回以上であることは間違いない ー 私の肩に乗せた。マウラーナはそれが好きだったし、私も好きだった。マウラーナは私の肩の上で『高い』と喜んだが、マウラーナを肩に乗せた私の方こそ、もっともっと高いところにいるような心持ちになったものだ。神秘道の階梯を、頂上目指して昇って行くというのは、あの心持ちと同じだ。あの時のあの高揚のおかげで、私は今こうしてここにいる。まがりなりにも師と呼ばれるようにもなった。そういうわけで、私はマウラーナに多くの借りがある」

マウラーナにその話が伝えられたとき、彼はこう答えた。「ああ、とても良く憶えている。そんな風に、本当に沢山の人々が私の世話をしてくれたことも。彼らと、彼らの家族のおかげで私は今こうしてここにいる。そしてそのことをとても感謝している」。



『Manaqib al-Arifin』とは『聖人伝』の意です。ここで読んでいるのは、「アフラーキーのマナーキブ」と呼ばれるものです。ルーミーの幼年期から青年期のこと、生前に内輪の人々に向けて語った言葉や講義などを、ルーミーの孫であり弟子でもあったチェレビーの指示のもとに、やはりルーミーの弟子だったアフラーキーが書き記したものです。