『シャムス・タブリーズィーとの出会い』

ともあれマウラーナはダマスカスに到着した。学識ある人々や町の有力者達は彼を歓待した。彼はムカッダス・マドラサに逗留し、宗教や科学について更なる知識探求に勤しんだ。彼はダマスカスで7年間過ごした。

伝えられるところによると、ある日マウラーナがダマスカス市街の公園を散策していた時のことである。彼は異様な風体の男を人の波の中に見た。毛羽立った黒い羊毛の長衣にすっぽりと身を包み、頭部に巻き付けられたターバンが、何とも形容しがたい奇妙な形を描いていた。とにかく、男は際立っていた ー その他の、誰とも共通点がないという点で。「ご機嫌麗しゅう、博士どの」男はマウラーナの近くまで来ると、彼の手を取り接吻した。

「何でも良くご存知なのだろう? ー 教えてくれ、私は何者だ」

すれ違いざまにそう言い残して、道を急ぐ人の波に男は消えた。それがシャムス・タブリーズィーだった。マウラーナは男を探したが、見つからなかった。




『Manaqib al-Arifin』とは『聖人伝』の意です。ここで読んでいるのは、「アフラーキーのマナーキブ」と呼ばれるものです。ルーミーの幼年期から青年期のこと、生前に内輪の人々に向けて語った言葉や講義などを、ルーミーの孫であり弟子でもあったチェレビーの指示のもとに、やはりルーミーの弟子だったアフラーキーが書き記したものです。