「Haqq」についてのめも書き

『ルーミー詩撰』更新したのですが、今回訳出した詩編に出てきた「Haqq(ハック)」についてめも書きしておこうと思います。

Haqqというのはアラビア語で「真実」「真理」を意味します。「right」とも訳されますが、「正義」というよりも「正解」という意味での「正」が、イメージとしてはより近いかも知れません。善悪であるとか美醜であるとか、そういう予断を超越した「間違いのないこと」「誤りではないこと」=「Haqq」です。
「Haqq」から派生した言葉で、「Haqiqa」というのがあります。「辿り着くべき内的真実」とでも呼ぶべき「段階」を、神秘主義者たちはそのように名付けました。「段階」がそれぞれをどのように補完しあうか、大雑把に説明すると以下のようになります:


sharia
シャリーア:主に身体を律するための方法

tariqa
タリーカ:主に精神を律するための方法

haqiqa
ハキーカ:シャリーア、タリーカを経て到達する(ことが目指される)真理

marifa
マアリファ:神の知識、直観、インスピレーション・・・

一番最後の「marifa」については、うーん。ときどき思いがけなく贈られる「ごほうび」のようなものと思っておけば良さそうです。

神秘主義者たちはしばしば神を「Haqq」と呼びます。口頭でもそうですが、記述として詩や散文の中にもしばしば見られます。その場合、呼ぶ方の心情的には「実在」「存在」のような意味合いを込めてそう呼んでいるように見受けられます。